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巡回指導トラック運送業 運転者への雇入時健康診断、定期健康診断の受診義務について詳しく解説

自動車運送事業は、利用者の生命、財産を預かるとともに、多くの場合大型車を利用するため、一旦事故が起こると大惨事になるおそれがあり、社会的影響も非常に大きいです。
自動車運送事業者は、運転者の健康状態を把握し、異常があれば医師の診察を受けさせるなど適切な指導や健康管理の重要性を理解させるために、必ず必要な健康診断を受診させる義務があります。

1.雇入時の健康診断について

労働安全衛生規則第43条では、労働者を雇い入れた際に、健康診断を行うことが義務づけられています。
雇入時の健康診断は、運転者として選任する前に受診させる必要がありますので注意しましょう。

この雇入時の健康診断については、入社後にすぐ受診させるものですが、例外があります。

労働安全衛生規則第43条抜粋

医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

雇入時の健康診断 項目

①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(赤血球数、血色素量)
⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
⑨血糖検査
⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪心電図検査(安静時心電図検査)

雇入時の健康診断については、医師の判断による省略項目はありません。

2.定期健康診断について

労働安全衛生規則第44条では、1年以内ごとに1回、定期的に健康診断を行うことが義務づけられています。
また、深夜業(夜間運行に従事する運転者)については、下記で説明しますが、6ヵ月以内毎に1回、定期健康診断を受診させる必要がありますので注意しましょう。

定期健康診断 項目

①既往歴及び業務歴の調査
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
④胸部エックス線検査及び喀痰検査
⑤血圧の測定
⑥貧血検査(赤血球数、血色素量)
⑦肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
⑧血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
⑨血糖検査

⑩尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
⑪心電図検査(安静時心電図検査)

③④⑥⑦⑧⑨⑪の赤字の項目は、厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときは、省略することができる。

診断項目医師が必要でないと認めるときに診断項目を省略できる者
身長20歳以上の者
腹囲次のいずれかに当てはまる者
①40歳未満(35歳を除く)の者
②妊娠中の女性その他の者であってその腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者
③BMI(次の算式により算出したものをいう。以下同じ。)が20未満である者【BMI=体重(㎏)/身長(m)2】
④自ら腹囲を測定し、その値を申告した者(BMIが22未満の者に限る。)
胸部エックス線検査40歳未満のうち、次のいずれにも該当しない者
①5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳)の者
②感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いている者
③じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者
喀痰検査次のいずれかに当てはまる者
①胸部エックス線検査を省略された者
②胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査によって結核発病のおそれがないと診断された者
血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中資質検査、血糖検査)
心電図検査

35歳未満の者、及び36~39歳の者

夜間運行に従事する運転者(深夜業従事者)への定期健康診断について

深夜業等の特定業務に従事する労働者に対しては、当該業務への配置換えの際および6ヵ月以内毎に1回、定期的に定期健康診断と同じ項目の検査を行うことが義務づけられています。
深夜業以外にも対象となる者については、労働安全衛生規則第十三条第一項第三号をご覧ください。

<①及び②両方に該当する運転者は、深夜業従事者となります。>
①午後10時から午前5時までの間にかかる勤務をする場合
②①の時間帯での勤務を常態として1週1回以上又は1ヵ月に4回以上行っている場合

3.健康診断の受診結果について

安全性向上のための健康管理は、確実な受診と結果のフォローが大切です。

①「要経過観察」「要観察」の運転者も積極的にフォローする。
②「要精密検査」「要治療」の運転者は必ず医師の診断を受ける。
③医師の意見を聞いて就業上の措置を判断する。

健康診断の受診結果の内容は、運転者台帳に記載しましょう。また、受診結果については、5年間の保存義務があります。

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