高速乗合バスを運行していると、自然災害による通行止や事故による交通渋滞等、どこかでこのような状況に必ず遭遇することになります。このような状況下で円滑に運行を継続するには、迂回運行が必要です。今回は、この迂回運行について詳しく解説していきます。
1.迂回運行をするために必要なこと
迂回路線の認可と運行計画の設定が必要
原則、迂回運行するためには、予め迂回する路線について事業計画の変更認可を受け、その迂回系統等を運行計画で設定しなければいけません。
運賃について
迂回系統の運賃は、本系統の運賃を適用するので、新たに届出する必要はありません。
どんな時に迂回できるのか?
あらかじめ道路交通状況に関する情報を収集した上で、当該運行系統に係る運行管理者が、事故等による交通の著しい混雑により、本系統における運行に著しい遅延を生じ(渋滞予測により交通の著しい混雑が予見される場合を含む。)、利用者の利便を著しく阻害することとなると判断した場合に限る。
運行開始後に迂回運行を指示する場合、運転者は、道路交通法第71条第1項第5号の5に規定する運転者の遵守事項(運行中の携帯電話の使用等)に抵触しない方法で、当該運行系統に係る運行管理者と連絡をとり、当該運行管理者の指示を必ず受けた上で、当該指示に従って運行を行わなければいけません。 |
その他必要事項
①迂回運行をする場合は、旅客に対し、その趣旨を十分に説明し周知を図ることとする。
②乗務記録に迂回運行についての内容を明記すること。
③運転基準図の作成(迂回区間についても運行に際して注意を要する箇所及び当該箇所を通過するときの運転上の注意等を記載し、営業所に備え、これにより運転者へ適切な指導をすること。
④運行表の作成(迂回区間についても、迂回区間、走行距離及び安全運行を図るための注意事項等を記載し、運転者に携行させること。
管轄の地方運輸局長等あての報告
予め迂回する路線について事業計画の変更認可を受け、迂回系統等を運行計画で設定している場合は、報告の必要はありません。
2.迂回運行の例外
迂回運行には、予め迂回する路線について事業計画の変更認可を受け、その迂回系統等を運行計画で設定していなくても実施することができる場合があります。
天災やその他やむを得ない事由がある場合
①天災により、その路線において運行することができなくなったとき。
②運行している路線に係る道路又は橋梁の損壊等により、当該道路又は橋梁を安全に通行することができなくなったとき。
③運行している路線に係る道路の通行が禁止され、又は制限されたとき。(通行止)
管轄の地方運輸局長等あての報告
上記①から③に該当する迂回運行は、報告の必要はありません。
事故等による予期せぬ混雑発生時、その他社会通念上やむを得ない場合
①事故等による予期せぬ交通の著しい混雑の発生に伴い、運行に著しい遅延を生じ、利用者の利便を著しく阻害すると認められる場合。(ゴールデンウィークやお盆による混雑など予見可能なものは該当しません。)
②大雪、大雨等災害に至らない異状気象時であって、当該道路上における通行が著しく停滞し、本系統における運行に著しい遅延を生じ、利用者の利便を著しく阻害すると認められる場合。
③当該道路上における交通が著しく混雑する状況において、旅客の生命、身体等へ影響を与える場合等であって、緊急避難的に迂回運行する場合。
<注意>①については、必要最小限の範囲において迂回運行が認められています。
管轄の地方運輸局長等あての報告
上記①から③に該当する迂回運行は、下記事項について、月末までに報告する必要があります。
①迂回運行を実施した路線名及び運行系統
②迂回運行した区間
③当該路線の運行時間及び当該迂回運行に係る運行系統の所要時間
④迂回運行した理由(具体的に明記すること。)