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貸切バス 業務後自動点呼を実施するには?必要な要件と実施までの流れを解説

令和5年1月から業務後自動点呼制度の運用が開始されました。この業務後自動点呼は、自動点呼機器(ロボット等)に点呼時の確認、指示項目を代替させて点呼を実施するものです。主に人的ミスの減少による点呼の確実性の向上、運転者・運行管理者の長時間労働の是正が目的です。今回は、この業務後自動点呼を実施するために必要な要件や実施できるようになるまでの流れを解説していきます。

業務後自動点呼を実施するための3つの要件

業務後自動点呼を実施するには、「機器・システム」、「施設・環境」、「運用上の遵守事項」の3つの要件を満たす必要があります。

1.機器・システムの要件

この自動点呼機器については国土交通省から認定を受けた機器を使用する必要があります。認定を受けた機器を取り扱う事業者と下記要件等について確認してから購入しましょう。

<機器・システムの要件について>

⑪に掲げる業務後自動点呼に必要な事項の確認、判断及び記録を実施できる機能を有すること。
運行管理者等が、運転者等ごとの業務後自動点呼の実施予定及び当該業務後自動点呼に責任を持つ運行管理者の氏名を入力でき、当該業務後自動点呼の実施状況及び実施結果を確認できる機能を有すること。
業務後自動点呼を受ける運転者等について、生体認証符号等を使用るする方法により確実に識別する機能を有し、生体認証符号等による識別が行われた場合に、業務後自動点呼を開始する機能を有すること。
運転者によるアルコール検知器の使用前又は使用中に当該運転者について生体認証符号等を使用する方法による識別が行われた場合に、アルコール検知器が作動する機能を有すること。ただし、③の生体認証符号等による識別の直後にアルコール検知器を使用する場合には、本項目の生体認証符号等による識別は、省略することができる。
運転者が行うアルコール検知器による測定の結果検知された呼気中のアルコールの有無又はその濃度及びアルコール検知器使用時の静止画面又は動画を自動的に記録及び保存する機能を有すること。
運転者が行うアルコール検知器による測定の結果、運転者の呼気中にアルコールが検知された場合には、直ちに運行管理者に対し警報又は通知を発する機能を有し、この場合において、業務後自動点呼を完了することができない機能を有すること。
運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況及び交替する運転者等に対する通告について、運転者等が口頭で報告した内容を電磁的方法により記録し、運行管理者等が確認できる機能を有すること。
運行管理者が運転者等に対して伝える指示事項を、当該運転者等ごとに画面表示又は音声により伝達する機能を有すること。
⑪に掲げる業務後自動点呼に必要な全ての確認、判断及び記録がなされない場合又は故障が生じている場合には、業務後自動点呼を完了することができない機能を有すること。
運転者等ごとに業務後自動点呼の実施予定時刻を設定することができ、当該予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務後自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等に対し警報又は通知を発する機能を有すること。
業務後自動点呼を受けた運転者等ごとに、次に掲げる事項を電磁的方法により記録し、かつ、その記録を一年間保存する機能を有すること。
(イ)業務後自動点呼に責任を負う運行管理者の氏名
(ロ)業務後自動点呼を受けた運転者等の氏名
(ハ)業務後自動点呼を受けた運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車の自動車登録番号又は当該事業用自動車を識別できる記号、番号等
(二)業務後自動点呼の実施日時
(ホ)点呼の方法
(ヘ)運転者にあっては、業務後自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器による測定結果及び酒気帯びの有無
(ト)運転者にあっては、業務後自動点呼を受けた運転者のアルコール検知器の使用による測定時の、当該運転者の顔が明瞭に確認できる静止画又は動画
(チ)運転者等が業務後自動点呼を受けている状況が明瞭に確認できる静止画又は動画
(リ)運転者等が従事した運行の業務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況
(ヌ)交替する運転者等に対する通告
(ル)交替する運転者等に対する通告運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所において業務後自動点呼を行う場合にあっては、運転者等が点呼を受けた場所
(ヲ)その他必要な事項
自動点呼機器が故障した場合、故障発生日時及び故障内容を電磁的方法により記録し、その記録を一年間保存する機能を有すること。
電磁的方法により記録された⑪に掲げる事項及び⑫の記録の修正若しくは消去できないものであること又は電磁的方法により記録された⑪に掲げる事項及び⑫の記録が修正された場合においては修正前の情報が保存され、かつ、消去できないものであること。
電磁的方法により記録された⑪に掲げる事項及び⑫の記録について、自動点呼機器に保存された情報をCSV形式で、電磁的記録として出力する機能を有すること。

2.施設・環境要件

業務後自動点呼を実施するための施設や環境を整えましょう。

なりすましやアルコール検知器の不正使用及び運転者等の属する営業所又は当該営業所の車庫、運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所以外で業務後自動点呼が行われることを防止するため、ビデオカメラその他の撮影機器により、運行管理者等が業務後自動点呼を受ける運転者等の全身を業務後自動点呼の実施中又は終了後に明瞭に確認することができること。

3.運用上の遵守事項

業務後自動点呼の運用に関しては、下記要件を遵守する必要があります。社内でマニュアル等を作成するなどして遵守できる体制を作りましょう。

事業者は、業務後自動点呼の運用に関し必要な事項について、あらかじめ運行管理規定に明記するとともに、運行管理者等、運転者等その他の関係者に周知すること。
事業者は、自動点呼機器の使用方法、故障時の対応等について運行管理者、運転者等その他の関係者に対し、適切に教育及び指導を行うこと。
事業者は、運転者等の属する営業所又は当該営業所の車庫において業務後自動点呼を行う場合には、当該場所以外で業務後自動点呼が行われることを防止するため、業務後自動点呼に用いる自動点呼機器が業務後自動点呼実施場所から持ち出されないよう必要な措置を講じること。
事業者は、自動点呼機器を適切に使用、管理及び保守することにより、常に正常に作動する状態に保持すること。
運行管理者等は、運転者ごとの業務後自動点呼の実施予定及び実施結果を適宜確認し、点呼の未実施を防止すること。
業務後自動点呼を実施する予定時刻から事業者があらかじめ定めた時間を経過しても業務後自動点呼が完了しない場合には、運行管理者等が適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
事業者は、運転者等が携行品を確実に返却したことを確認できる体制を整備すること。
運行管理者等に対し早急に報告する必要がある事項については、業務後自動点呼の実施にかかわらず、運転者等から運行管理者等に対し速やかに報告するよう指導すること。
運転者が酒気を帯びていることが確認された場合は、運行管理者が当該運転者の状態を確認するための適切な措置を講じることができる体制を整備すること。
自動点呼機器の故障等により業務後自動点呼を行うことが困難となった場合に、業務後自動点呼を受ける運転者等の属する営業所の運行管理者等による対面点呼その他の実施が認められている点呼を行うことができる体制を整えること。
事業者は、運転者等(以下対象者)の識別に必要な生体認証符号等、あらかじめ、対象者の同意を得ること。
業務後自動点呼を行う運行管理者等は、運転者等が従事する運行の業務に係る事業用自動車内、待合所、宿泊施設その他これらに類する場所において運転者等が業務後自動点呼を受ける場合にあっては、あらかじめ当該運転者等を選任している事業者が定めた場所で業務後自動点呼を受けていることを、当該業務後自動点呼の実施中又は終了後に静止画又は動画により確認すること。

管轄運輸支局への届出

業務後自動点呼を実施するための3つの要件を満たした後は、業務後自動点呼を実施する営業所の管轄運輸支局へ届出書と必要な添付書類を提出すれば完了となります。

業務後自動点呼を複数の営業所で実施する場合

<例>
東京と千葉の営業所で業務後自動点呼を実施する場合は、東京運輸支局及び千葉運輸支局へそれぞれ提出する必要があります。

添付書類について

・非常時に対面点呼又は実施が認められている点呼を行うことができる体制が分かる書類
・自動点呼機器の設置場所及び設置の状況が分かる書類(営業所又は車庫で実施する場合)
・監視カメラの設置場所が分かる書類(監視カメラを使用する場合)

事前の届出

業務後自動点呼実施予定日の原則10日前までに提出となります。

業務後自動点呼の実施に係る届出書

業務後自動点呼実施届

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