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巡回指導トラック運送業 運転者に対する輸送の安全の確保に必要な指導監督(運転者の年間教育)

貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者(選任されている運転者全員)に対する指導及び監督を毎年実施し、その日時、場所及び内容並びに指導及び監督を行った者及び受けた者を記録し、かつ、その記録を営業所において3年間保存しなければいけません。
指導及び監督の内容は12項目あります。今回は、この12項目を解説していきます。

1.年間教育計画について

まずは、国土交通省告示1366号12項目に基づく運転者への教育計画を作成する必要があります。
計画については、事業者ごとのペースで構いません。(2ヵ月に1回、4半期に1回等)
無理なく、継続的に実施できる計画を作成しましょう。

乗務員教育実施計画

2.実施しなければいけない指導及び監督の内容12項目

①事業用自動車を運転する場合の心構え

貨物自動車運送事業は公共的な輸送事業であり、貨物を安全、確実に輸送することが社会的使命であることを認識させるとともに、事業用自動車による交通事故の統計を説明すること等により、事業用自動車による交通事故が社会に与える影響の大きさ及び事業用自動車の運転者の運転が他の運転者の運転に与える影響の大きさ等を理解させ、事業用自動車の運行の安全を確保するとともに他の運転者の模範となることが事業用自動車の運転者の使命であることを理解させる。

②事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項

貨物自動車運送事業法、道路交通法及び道路運送車両法に基づき運転者が遵守すべき事項を理解させる。また、当該事項から逸脱した方法や姿勢による運転をしたこと及び日常点検を怠ったことに起因する交通事故の事例、当該交通事故を引き起こした貨物自動車運送事業者及び運転者に対する処分並びに当該交通事故が加害者、被害者その他の関係者に与える心理的影響を説明すること等により、当該事項を遵守することの重要性を理解させる。

③事業用自動車の構造上の特性

自らの運転する事業用自動車の車高、視野、死角、内輪差、制動距離等を確認させるとともに、これらが車両により異なること及び運搬中の貨物が事業用自動車の運転に与える影響を理解させる。この場合において、牽引自動車及び被牽引自動車を運行する場合においては、当該牽引自動車を運転するに当たって留意すべき事項を、当該被牽引自動車によりコンテナを運搬する場合においては、当該コンテナを下部隅金具等により確実に緊締しなければならないことを併せて理解させる。また、これらを把握していなかったことに起因する交通事故の事例を説明すること等により、事業用自動車の構造上の特性を把握することの必要性を理解させる。

④貨物の正しい積載方法

道路法その他の軸重の規制に関する法令に基づき運転者が遵守すべき事項を理解させるとともに、偏荷重が生じないような貨物の積載方法及び運搬中に荷崩れが生じないような貨物の固縛方法を指導する。また、偏荷重が生じている場合、制動装置を操作したときに安定した姿勢で停止できないおそれがあること及びカーブを通行したときに遠心力により事業用自動車の傾きが大きくなるおそれがあることを交通事故の事例を挙げるなどして理解、習得させる。

⑤過積載の危険性

過積載に起因する交通事故の事例を説明すること等により、過積載が事業用自動車の制動距離、安定性等に与える影響を理解させるとともに、過積載による運行を行った場合における貨物自動車運送事業者、事業用自動車の運転者及び荷主に対する処分について理解させる。

⑥危険物を運搬する場合に留意すべき事項

危険物を運搬する場合においては、危険物に該当する貨物の種類及び運搬する危険物の性状を理解させるとともに、危険物を運搬する前に確認すべき事項並びに危険物の取扱い方法、積載方法及び運搬方法について留意すべき事項を理解させる。また、運搬中に危険物が飛散又は漏えいした場合に安全を確保するためにとるべき方法を指導し、習得させる。この場合において、タンクローリにより危険物を運搬する場合にあっては、これを安全に運搬するために留意すべき事項を理解させる。

⑦適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況

①当該貨物自動車運送事業に係る主な道路及び交通の状況をあらかじめ把握させるよう指導するとともに、これらの状況を踏まえ、事業用自動車を安全に運転するために留意すべき事項を指導する。この場合、交通事故の事例又は自社の事業用自動車の運転者が運転中に他の自動車又は歩行者等と衝突又は接触するおそれがあったと認識した事例(ヒヤリハット体験等)を説明すること等により運転者に理解させる。

②道路運送車両の保安基準第2条、第4条又は第4条の2について同令第55条の認定を受けた事業用自動車を運転させる場合及び道路法第47条の2第1項に規定する許可又は道路交通法第57条第3項に規定する許可を受けて事業用自動車を運転させる場合は、安全に通行できる経路としてあらかじめ設定した経路を通行するよう指導するとともに、当該経路における道路及び交通の状況を踏まえ、当該事業用自動車を安全に運転するために留意すべき事項を指導し、理解させる。

⑧危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法

強風、豪雪等の悪天候が運転に与える影響、右左折時における内輪差、直前、後方及び左側方の視界の制約並びにジャックナイフ現象等の事業用自動車の運転に関して生ずる様々な危険について、危険予知訓練の手法等を用いて理解させるとともに、危険を予測し、回避するための自らへの注意喚起の手法として、指差呼称及び安全呼称を行う習慣を体得させる。また、事故発生時、災害発生時その他の緊急時における対応方法について事例を説明すること等により理解させる。

⑨運転者の運転適性に応じた安全運転

適性診断その他の方法により運転者の運転特性を把握し、個々の運転者に自らの運転行動の特性を自覚させる。また、運転者のストレス等の心身の状態に配慮した適切な指導を行う。

⑩交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因並びにこれらへの対処方法

長時間連続運転等による過労、睡眠不足、医薬品等の服用に伴い誘発される眠気、飲酒が身体に与える影響等の生理的要因及び慣れ、自らの運転技能への過信による集中力の欠如等の心理的要因が交通事故を引き起こすおそれがあることを事例を説明することにより理解させるとともに、貨物自動車運送事業輸送安全規則3条第4項の規定に基づき事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準を定める告示に基づく事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間を理解させる。また、運転中に疲労や眠気を感じたときには運転を中止し、休憩するか、又は睡眠をとるよう指導するとともに、飲酒運転、酒気帯び運転及び覚せい剤等の使用の禁止を徹底する。

⑪健康管理の重要性

疾病が交通事故の要因となるおそれがあることを事例を説明すること等により理解させるとともに、定期的な健康診断の結果、心理的な負担の程度を把握するための検査の結果等に基づいて生活習慣の改善を図るなど適切な心身の健康管理を行うことの重要性を理解させる。

⑫安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車の適切な運転方法

安全性の向上を図るための装置を備える事業用自動車を運行する場合においては、当該装置の機能への過信及び誤った使用方法が交通事故の要因となるおそれがあることについて説明すること等により、当該事業用自動車の適切な運転方法を理解させる。

3.教育指導記録簿について

乗務員に対する指導及び教育については、教育指導記録簿を作成し、3年間保存が必要です。

乗務員年間教育記録簿-1

必須記載事項は下記4項目になります。

①実施日時
②実施場所
③実施内容
④指導・監督を行った者及び指導・監督を受けた者の氏名

教育で使用した資料等は、必ず教育指導記録簿と一緒に保存をしましょう。
また、教育内容の理解度を確認する小テスト等も一緒に実施することが望ましいです。

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