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貸切バス 車両故障や予期せぬ渋滞などで、1日の拘束時間や運転時間などの限度を超えてしまった場合は?

改正された改善基準告示が2024年4月1日から施行されています。その中で車両故障や予期せぬ渋滞などの影響で1日の拘束時間、運転時間、連続運転時間の限度を超えてしまった場合に予期し得ない事象への対応に費やした時間を除くことができる規定が新しく追加されました。今回は、この予期し得ない事象について解説していきます。

予期し得ない事象への対応に費やした時間を除くことができる対象

対象となるのは下記3点のみ

・1日の拘束時間
・1日の運転時間
・連続運転時間

注意点

予期し得ない事象の対応に費やした時間は、1年:3,300時間以内と1ヵ月:281時間以内又は52週:3,300時間以内と4週平均1週65時間以内の限度からは除くことはできません。予期し得ない事象に対応した時間によって、限度を超えてしまわないように調整していく必要があります。

予期し得ない事象とは、下記事象を言います

予期し得ない事象

・運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと
・運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと
・運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと
・異状気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと

注意点

災害や事故の発生を伴わない自然渋滞(商業施設や大型イベントの開催、お盆休み等の帰省ラッシュ等、単なる交通集中等)に巻き込まれた時間は該当しません。

異状気象であっても警報が発表されない場合における対応時間は該当しません。

運転日報上の記録と客観的な記録が必要です

運転日報上の記録

運転日報上の記録は、対応を行った場所(渋滞箇所等)、予期し得ない事象に係る具体的事由(車両故障によるため等)、当該事象への対応を開始した時刻及び対応が終了した時刻や所要時間が確認できるもの

客観的な記録

運転中に乗務している車両が予期せず故障したとき修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等
運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したときフェリー運行会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し等
運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したとき公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し等(渋滞の日時・原因を特定できるもの)
異状気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったとき気象庁のホームページ等に掲載された異状気象等に関する気象情報等の写し等

勤務終了後は9時間以上の休息期間が必要です

休息期間について

予期し得ない事象への対応により1日(始業時刻から起算した24時間)で休息期間が9時間以上確保できない場合は、勤務終了後に継続9時間以上の休息期間を与える必要があります。

参考例

運行中に事故の発生に伴う道路封鎖により、3時間の対応時間を要した場合

予期し得ない事象例
<拘束時間>
17時間-3時間=14時間
3時間の対応時間を除くことにより、拘束時間の基準を満たします。
<運転時間>
(2時間+7時間+3時間)-3時間=9時間
3時間の対応時間を除くことにより、改善基準告示の適用となる運転時間は9時間となりますが、基準を満たすかどうかは前後の日の運転時間を含めて判断します。
<連続運転時間>
7時間ー3時間=4時間
3時間の対応時間を除くことにより、連続運転時間の改善基準告示を満たします。
<休息期間>
勤務終了後の23時から継続9時間を下回らない休息期間が必要です。
勤務終了後の23時から翌朝8時まで、合計9時間の休息期間がとれているので、基準を満たします。

<Click>改正されたバス運転者の「改善基準告示」についてはこちら

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