令和6年4月1日より、改正された改善基準告示が施行されています。改善基準告示とは、長時間労働の実態にあるバスなどの自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため、労働基準法に基づく労働時間規制とは別に、その業務の特性を踏まえて拘束時間、休息期間、運転時間等の基準を定めたものです。今回は、改正された改善基準告示についての変更内容などを解説していきます。
改正された改善基準告示の内容
1ヵ月(1年)又は4週平均1週(52週)の拘束時間
1ヵ月(1年)の基準又は4週平均1週(52週)の基準のいずれかを選択します。
<1ヵ月(1年)の基準> 1年:3,300時間以内 1ヵ月:281時間以内 | 【例外】貸切・乗合バス乗務者等の場合は、労使協定により、次のとおり延長可 1年:3,400時間以内 1ヵ月:294時間以内(年6ヵ月まで) 281時間超は連続4ヵ月まで |
<4週平均1週(52週)の基準> 52週:3,300時間以内 4週平均1週:65時間以内 | 【例外】貸切・乗合バス乗務者等の場合は、労使協定により、次のとおり延長可 52週:3,400時間以内 4週平均1週:68時間以内(52週のうち24週まで) 65時間超は連続16週まで |
1日の拘束時間
13時間以内(上限15時間、14時間超は週3回までが目安)
1日の休息期間
継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない
運転時間
2日平均1日:9時間以内 4週平均1週:40時間以内 | 【例外】貸切・乗合バス乗務者等の場合は、労使協定により、次のとおり延長可 4週平均1週44時間まで延長可(52週のうち16週まで) |
連続運転時間
4時間以内(運転の中断は1回連続10分以上、合計30分以上) 高速バス・貸切バスの高速道路の実車運行区間の連続運転時間は、おおむね2時間までとするよう努める | 【例外】 緊急通行車両の通行等に伴う軽微な移動の時間を、30分まで連続運転時間から除くことができる |
予期し得ない事象
予期し得ない事象への対応時間を1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、連続運転時間から除くことができる。勤務終了後、通常どおりの休息期間(継続11時間以上を基本、9時間を下回らない)を与える | 予期し得ない事象とは、次の事象をいう。 運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと 運転中に予期せず乗船予定フェリーが欠航したこと 運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと 異状気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと 運転日報上の記録に加え、客観的な記録(公的機関のHP情報等)が必要 |
特例
<分割休息(継続9時間の休息期間を与えることが困難な場合)> 分割休息は1回4時間以上 休息期間の合計は11時間以上 2分割のみ(3分割以上は不可) 一定期間(1ヵ月)における全勤務回数の2分の1が限度 |
<2人乗務(自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合)> 身体を伸ばして休息できるリクライニング方式のバス運転者の専用座席が1席以上ある場合、拘束時間を19時間まで延長し、休息期間を5時間まで短縮可(車両内ベッドが設けられている場合又は身体を伸ばして休息できるリクライニング方式のバス運転者の専用座席がカーテン等で他の乗客からの視線を遮断する措置を講じている場合は、拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮可) |
<隔日勤務(業務の必要上やむを得ない場合> 2暦日の拘束時間は21時間、休息期間は20時間 【例外】 仮眠施設で夜間に4時間以上の仮眠を与える場合、2暦日の拘束時間を24時間まで延長可(2週間に3回まで)2週間の拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えることができない |
<フェリー> フェリー乗船時間は、原則として休息期間(減算後の休息期間は、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならない) フェリー乗船時間が9時間を超える場合、原則としてフェリー下船時刻から次の勤務が開始される |
休日労働
休日労働は2週間に1回を超えない、休日労働によって拘束時間の上限を超えない