年間契約は、スクールバスや企業送迎などで概ね年間を通じて貸切バスを専属車両として運送契約を結ぶことを言います。この年間契約は、通常金額の約3割引きになり、利用者にとってみればかなりお得な契約になります。今回は、この年間契約の計算方法と注意点を解説していきます。
年間契約の計算方法について
前提条件(スクールバス) | 運賃計算条件(関東運輸局公示運賃)基準額使用 |
①大型バスで大学と最寄駅間の送迎輸送を行う(年間200日の稼働) ②送迎は午前中の4往復とする ③学校から最寄駅までの距離は往復10㎞、時間は往復1時間とする | ①大型バス単価:キロ単価160円、時間単価6,580円 ②回送距離は片道5㎞、回送時間は片道30分(0.5時間) ③運行開始前及び運行終了後の1時間は点呼点検時間として時間制運賃を適用 ④実働率は65%とする |
STEP1計算方法
①1日あたりの貸切バス運賃・料金 | 貸切バス事業者が国へ届け出た運賃・料金を確認し、その範囲内で算出します。 |
②365日 | この365日は原則固定です。 スクールバスのみ固定の365日又は実際の契約上の運行日数に基づき170日から365日の間の日数を使用できます。(今回は、ここを200日にしています。) |
③実働率 | 直近の輸送実績報告書の延実働車両数を延実在車両数で割った実働率と各運輸局の平均実働率の間で決定します。 <例>直近の自社実働率47%関東運輸局の平均実働率は67.58%の場合は、47%から67.58%の間で一番自社にとって効率が良い数字を選びます。 |
各運賃ブロックの平均実働率(2024年現在)
北海道運輸局 | 71.43% |
東北運輸局 | 58.10% |
関東運輸局 | 67.58% |
北陸信越運輸局 | 58.33% |
中部運輸局 | 66.45% |
近畿運輸局 | 59.96% |
中国運輸局 | 59.43% |
四国運輸局 | 54.04% |
九州運輸局 | 62.85% |
沖縄総合事務局 | 62.78% |
STEP2条件を基に実際に計算してみましょう。
<1日あたりの貸切バス運賃・料金の計算>
<キロ制運賃> 送迎運送分:往復10㎞×4往復×160円=6,400円・・・① 回送運行分:片道5㎞×2回×160円=1,600円・・・② キロ制運賃計:①+②=8,000円 |
<時間制運賃> 送迎運送分:往復1時間×4往復×6,580円=26,320円・・・① 回送運行分:片道0.5時間×2回×6,580円=6,580円・・・② 点呼点検時間:1時間×2回×6,580円=13,160円・・・③ 時間制運賃計:①+②+③=46,060円 |
<1日あたりの貸切バス運賃・料金> 8,000円+46,060円=54,060円 |
<平均的な稼働日数の計算>
想定稼働日数200日×実働率65%=130日 |
<稼働日数200日の契約額>
54,060円×130日=7,027,800円 130日×1.4=182日 7,027,800円で182日までの運行が可能(約3割お得) 残りの18日(200日ー182日)は、通常計算となり54,060円×18日=973,080円になります。 7,027,800円+973,080円=8,000,880円 契約額は、8,000,880円+消費税(この金額以上での契約締結が必要となります。) |
注意点
<注意1> 年間契約において、実際に運行することとする稼働日数については、整備点検や車検等を想定し、338日が限度となっています。 |
<注意2> 年間契約の算出基礎となる走行時間及び走行距離を超えた場合の運行については、1日ごとに時間運賃、キロ運賃を基に別途精算を行うこととし、この旨を年間契約書に明記しなければいけません。 |