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巡回指導トラック運送業 日常点検の点検項目と実施方法を徹底解説

日常点検については、「道路運送車両法」によって運転者等は1日1回運行の開始前に実施することが義務づけられています。日常点検を適正に実施していれば回避できたはずのものが、それを怠ることで車両故障やそれが引き金となって発生する交通事故等様々な弊害が発生します。日常点検の基準と実施方法を確認し、必ず実施しましょう。

日常点検の実施方法

日常点検は、日ごろ自動車を使用していく中で、自分自身の責任において行う点検です。この点検は、自身が運転席に座ったり、エンジンルームをのぞいたり、また、自動車周りを回りながら自動車の状態を見ることによって容易に実施可能なものを中心としています。
また、1日1回、その運行の前に実施することが必要です。これは大型トラックやバス、タクシーなどの自動車は、多くの人や物を運搬し、公共性が高いことなどから、より確実な点検を実施する必要があるからです。

点検箇所点検項目点検の実施方法
運行中の異状箇所当該箇所の異状前日又は前回の運行中に異状を認めた箇所について、運行に支障がないか点検します。

<運転席での点検>

点検箇所点検項目点検の実施方法
ブレーキ・ペダル踏みしろ、ブレーキのききエンジンをかけた状態でブレーキ・ペダルをいっぱいに踏み込んだとき、床板との隙間(踏み残りしろ)や踏みごたえが適当であるかを点検します。(床板との隙間が少なくなっているときや、踏みごたえが柔らかく感じるときは、ブレーキ液の液漏れ、空気の混入によるブレーキのきき不良のおそれがあります。)

トラック、バスなどのエア・ブレーキが装着されている自動車にあっては、踏みしろの点検は不要です。なお、「車の周りからの点検」の欄を参照してください。
駐車ブレーキ・レバー(パーキング・ブレーキ・レバー)引きしろ(踏みしろ)パーキング・ブレーキ・レバーをいっぱいに引いた(踏んだ)とき、引きしろ(踏みしろ)が多すぎたり、少なすぎたりしないかを点検します。

トラック、バスなどにおいて用いられるホイールパーク式(空気式車輪制動型)にあっては、エンジンをかけて規定の空気圧の状態で、レバーを駐車位置まで引いたとき、レバーが固定され、空気の排出音が聞こえるかを点検します。
原動機(エンジン)※かかり具合、異音エンジンが速やかに始動し、スムーズに回転するかを点検します。また、エンジン始動時及びアイドリング状態で、異音がないかを点検します。
※低速、加速の状態エンジンを暖機させた状態で、アイドリング時の回転がスムーズに続くかを点検します。

エンジンを徐々に加速したとき、アクセル・ペダルに引っ掛かりがないか、また、エンスト、ノッキングなどを起こすことなくスムーズに回転するかを走行するなどして点検します。
ウィンド・ウォッシャ※噴射状態ウィンド・ウォッシャ液の噴射の向き及び高さが適当かを点検します。
ワイパー※拭き取りの状態ワイパーを作動させ、低速及び高速の各作動が不良でないかを点検します。

綺麗に拭き取れるかを点検します。
◎空気圧力計空気圧力の上がり具合エンジンをかけて、空気圧力の上がり具合が極端に遅くないかを点検します。また、空気圧力が空気圧力計の表示に示された範囲にあるかを点検します。
◎ブレーキ・バルブ排気音ブレーキ・ペダルを踏み込んで放した場合に、ブレーキ・バルブからの排出音が正常であるかを点検します。

<エンジン・ルームの点検>

点検箇所点検項目点検の実施方法
ウィンド・ウォッシャ・タンク※液量     ウィンド・ウォッシャ液の量が適当かを点検します。
ブレーキのリザーバ・タンク液量      リザーバ・タンク内の液量が規定の範囲(MAX~MINなど)にあるかを点検します。
バッテリ※液量    バッテリ各槽の液量が規定の範囲(UPPER~LOWERなど)にあるかを車両を揺らすなどして点検します。
ラジエータなどの冷却装置※水量     リザーバ・タンク内の冷却水の量が規定の範囲(MAX~MINなど)にあるかを点検します。(冷却水の量が著しく減少しているときは、ラジエータ、ラジエータ・ホースなどからの水漏れのおそれがあります。)
潤滑装置※エンジン・オイルの量エンジン・オイルの量がオイル・レベル・ゲージにより示された範囲内にあるかを点検します。
△ファン・ベルト※張り具合、損傷ベルトの中央部を手で押し、ベルトが少したわむ程度であるかを点検します。

ベルトに損傷がないかを点検します。

<車の周りからの点検>

点検箇所点検項目点検の実施方法
灯火装置、方向指示器点灯・点滅具合、汚れ、損傷エンジン・スイッチを入れ、前照灯、制動灯などの灯火装置の点灯具合や方向指示器の点滅具合が不良でないかを点検します。

レンズや反射器に汚れや変色、損傷などがないかを点検します。
タイヤ空気圧タイヤの接地部のたわみの状態により、空気圧が不足していないかを点検します。(扁平チューブレスタイヤなどのようにたわみの状態により空気圧不足が分かりにくいものや、長距離走行や高速走行を行う場合には、タイヤゲージを用いて点検します。)
☐ディスク・ホイールの取付状態ディスク・ホイールの取付状態について、目視により次の点検を行います。
ホイール・ナットの脱落、ホイール・ボルトの折損等の異状はないか。
ホイール・ボルト付近にさび汁が出た痕跡はないか。
ホイール・ナットから突出しているホイール・ボルトの長さに不揃いはないか。

ディスク・ホイールの取付状態について、ホイール・ボルトの折損、ホイール・ナットの緩み等がないかを点検ハンマーなどを使用して点検します。
亀裂、損傷タイヤの全周に著しい亀裂や損傷がないかを点検します。また、タイヤの全周にわたり、釘、石、その他の異物が刺さったり、かみ込んでいないかを点検します。
異常な摩耗タイヤの接地面が異常に摩耗していないかを点検します。
※溝の深さ溝の深さに不足がないかをウェア・インジケータ(スリップ・サイン)などにより点検します。
◎エア・タンクタンク内の凝水ドレン・コックを開いて、タンクに水がたまっていないかを点検します。
◎(ブレーキ・ペダル)※(踏みしろ、ブレーキのきき)トラック、バスなどのエア・ブレーキが装着されている自動車にあっては、運行状況により適切な時期にブレーキ・チャンバのロッドのストロークとブレーキ・ドラムとライニングの隙間について、次の点検を行います。

ブレーキ・ドラムとライニングの隙間が手動調整方式のものにあっては、規定の空気圧の状態で、ブレーキペダルを数回操作し、ブレーキ・シューを安定させた後、点検孔のあるものはシックネス・ゲージにより、また、点検孔のないものはアジャスタにより、隙間を点検します。

フル・エア・ブレーキが装着されている自動車にあっては、規定の空気圧の状態で補助者にブレーキ・ペダルをいっぱいに踏み込ませ、ブレーキ・チャンバのロッドのストロークが規定の範囲にあるかをスケールなどにより点検します。

(注)

1.※印の点検項目は、自動車の走行距離や運行時の状態などから判断した適切な時期に行えばよいものです。

2.◎印の点検箇所は、エア・ブレーキが装着されている場合に点検してください。

3.△印の点検箇所は、「自家用乗用など」に分類される自動車にあっては、定期点検の際に実施するなどしてください。

4.☐印の点検項目はは、「大型車」の場合に点検してください。


トラック日常点検

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