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巡回指導トラック運送業 運行管理者の資格要件、講習受講義務、補助者について

運行管理者については、トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)の巡回指導項目でも非常に重要な部分です。
ここでは、運行管理者になる要件、講習の受講義務、補助者について解説します。

1.運行管理者とは

自動車運送事業者は、法律に基づき、安全運行に必要な運転者の勤務時間を設定し、運行管理のための指揮命令系統を明確にしなければなりません。この安全体制の確立に中心的役割を果たすのが運行管理者です。

主な業務として具体的には、事業用自動車の運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者への指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態の把握や安全運行の指示等になります。

また、事業者は運行管理者に対して業務を行うため必要な権限を与えなければなりません。
事業者は、運行管理者から安全のための指導を尊重しなければならず、運転者その他の従業員は、運行管理者の指導に従わなければなりません。

2.運行管理者の資格要件

運行管理者は、国家資格です。毎年3月と8月の試験に合格するか、実務経験による取得方法があります。

<運行管理者試験の受験資格について>

以下の①又は②のいずれかに該当する方でないと試験を受けることはできません。

①国土交通省が認定する講習(NASVA等の基礎講習)を受講したこと
②運行管理に関して1年以上の実務経験があること
<5年の実務経験による運行管理者資格者証取得方法>

以下①及び②に該当すれば、運行管理者資格者証の交付を受けることができます。

①5年の実務経験について

運行管理補助者として貨物自動車運送事業者の運行管理に関し、5年以上の実務経験を有する者。(補助者として選任された日から5年)

②5年の講習について

運行管理補助者として運行管理業務に従事しながら、国土交通省が認定する講習(NASVA等の講習)を1年毎(4月~翌3月中)に1回、合計5年で5回以上受講した者。(基本的には初回が基礎講習となるので、問題ないと思いますが、5回の内1回は基礎講習の受講が必要となります。)

※1年に2回受講してもカウントされません。

原則、実務経験は補助者としてのものなので、基礎講習受講後の補助者選任日からカウントされます。ですので、基礎講習受講より以前に受けた一般講習は、実務経験期間内の回数としてカウントされませんのでご注意ください。

3.運行管理者の必要人数

運行管理者は1つの営業所に1名以上の選任が必要です。(5台未満の霊柩限定、一般廃棄物限定は除きます。5台未満でも普通の一般貨物自動車運送事業者は選任が必要です。)
営業所所属の緑ナンバートラックの台数により必要な選任数が定められています。

必要な選任数について

・~29台まで 1名
・30台~59台まで 2名
・60台~89台まで 3名

※「保有台数÷30」の小数点以下を切り捨てて、プラス1すると簡単に計算できます。

4.運行管理者の講習受講について

①現在選任されている運行管理者

現在選任されている運行管理者は、国土交通大臣の認定を受けた講習(NASVA等の一般講習)を2年に1回受講しなければなりません。

まず、この2年はどのような基準で考えればいいかというと、最後に講習を受講した年度の翌々年度中に受ければいいということです。例えば2023年10月1日に一般講習を受講したのであれば、次回は2025年4月から2026年3月末日までに受講すればいいことになります。

②新たに選任された運行管理者

新たに選任された運行管理者については、原則、選任された年度内(4月から翌3月)に国土交通大臣の認定を受けた講習(NASVA等の一般講習又は基礎講習)を受講しなければなりません。

基礎講習を1度も受講したことがない場合は、ここで必ず基礎講習を受講させましょう。

新たに選任された運行管理者については、少し複雑な箇所でもあるので、下記例を参考に解説していきます。

<パターン1>
A会社の大阪営業所で選任されていた運行管理者が転勤して、東京営業所で新たに選任された場合(この運行管理者は、直近で2年に1回の一般講習を受講しているものとする。)

これは、新たに選任された運行管理者に該当しません。①の2年に1回の受講で考えます。
<パターン2>
A会社で過去に選任されていた運行管理者が、再度同じ会社で選任された場合

これは、以前受講した一般講習から2年に1回の期間が経過しているかしていないかで異なります。
【経過している】新たに選任された運行管理者と同じ扱い。②の選任した年度内に受講で考えます。
【経過していない】新たに選任された運行管理者に該当しません。①の2年に1回の受講で考えます。
<パターン3>
A会社の運行管理者として選任されており、直近の一般講習を受講した後、退職しB会社の運行管理者として選任された場合(別の会社へ転職した場合)

これは、新たに選任された運行管理者に該当します。②の選任した年度内に受講で考えます。
A会社で受講したばかりであっても、B会社で選任された時は、年度内に再度受講が必要です。

5.運行管理補助者の要件

ここまで話の中で度々出てきている運行管理補助者とは?

運行管理補助者とは、国土交通大臣の認定を受けた講習(ここではNASVA等の基礎講習)を受講すると、なることができます。また、運行管理者資格者証を持っている方もなれます。運行管理者の全ての仕事ができるわけではありませんが、点呼を代務することができます。
しかし、全ての点呼を実施できるわけではなく、全運行回数の3分の2までとなっているので注意しましょう。

運行管理者資格者証を持っていないかつ基礎講習も受講していない方を運行管理補助者として選任していることが稀にあります。しっかりと運行管理補助者としての要件を満たしましょう。

整備管理者 資格要件、研修受講義務、補助者についてはこちら

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