現在、貸切バスの車両には、ドライブレコーダーを装着することが義務となっています。このドライブレコーダーですが、告示により記録すべき情報と性能要件が定められています。今回は、この記録すべき情報と性能要件について詳しく解説していきます。
1.ドライブレコーダーにより記録すべき情報
①自動車の前方の映像(運転者席より前方であって車両中心線付近に備え付けられた規定に適合した前方用カメラにより撮影される自動車の進行方向の映像) |
②自動車の運転者等の映像(規定に適合した運転者用カメラにより撮影される運転者の挙動、変速装置及びかじ取ハンドルの映像) |
③自動車の瞬間速度 |
④自動車の加速度(道路に平行な平面における自動車の進行方向、当該平面における自動車の進行方向と直交する方向及び当該平面に直交する方向の加速度) ※「2.ドライブレコーダーの性能要件」に適合する「加速度記録計」を備える場合に限る。 |
⑤警報音(車線逸脱警報装置その他の当該自動車に備え付けられている装置が安全を確保するために運転者に対して発する警報音) |
⑥日付及び時刻 |
上記①~⑤については、⑥日付及び時刻と連動していること。 |
①、②、⑤及び⑥の規定に基づき記録される情報は、広く一般的に用いられている再生用ソフトウェアを用いて電子計算機で同時に再生できるものであること。 |
2.ドライブレコーダーの性能要件
前方用カメラ
ドライブレコーダーは、次に掲げる要件を満たす前方用カメラを備えたものであること。
①水平面上に備え付けた場合に、左右にそれぞれ50度以上、上下にそれぞれ35度以上の角度の範囲を撮影できること。
②640×480ドット以上の解像度で映像を記録できること。
③夜間(日没時から日出時までの時間)において前照灯その他の灯火をつけた状態で、指導監督等の実施に支障がない程度に映像を記録できること。
④0.1秒に1回以上の頻度で映像を記録できること。
運転者用カメラ
ドライブレコーダーは、次に掲げる要件を満たす運転者用カメラを備えたものであること。
①夜間でも指導監督等の実施に支障がない程度に自動車の運転者等の映像を記録できること。
②0.2秒に1回以上の頻度で映像を記録できること。
瞬間速度記録計
ドライブレコーダーは、瞬間速度の記録の分解能が2.5㎞/h以下であって、かつ、0.5秒に1回以上の頻度で瞬間速度を記録できる瞬間速度記録計を備えたものであること。この規定により記録された瞬間速度の情報を電子計算機を用いて表示した場合の誤差は、下記表の左欄に掲げる瞬間速度ごとに、同表の右欄に掲げる許容誤差の範囲内であること。
瞬間速度(㎞/h) | 速度表示の許容誤差(㎞/h) |
40 | ±3.0 |
60 | ±3.0 |
80 | ±3.5 |
100 | ±4.5 |
加速度記録計等
ドライブレコーダーは、次に掲げる要件を満たす加速度記録計を備えたものとすることができる。(必須ではない)
①3方向のいずれかにおいて2.5m/s²以上の加速度が発生した場合に検知できる制度を有すること。
②加速度の記録の分解能は、0.5m/s²以下であること。
③0.1秒に1回以上の頻度で加速度を記録できること。
この加速度記録計を備えるドライブレコーダーは、一般貸切旅客自動車運送事業者があらかじめ設定した値又は2.5m/s²のいずれか大きい数値以上の加速度を検知した場合には、その前後10秒以上の期間における「1.ドライブレコーダーにより記録すべき情報」の記録を容易に抽出できる機能を備えたものであること。
録音機
ドライブレコーダーは、警報音を記録できる録音機を備えたものであること。
日付及び時刻記録計
ドライブレコーダーは、日付及び時刻を記録できるものであること。
ドライブレコーダーは、当該ドライブレコーダーにおいて日付又は時刻の変更を行った場合に、その履歴を記録できる機能を備えたものであること。
記録装置等
ドライブレコーダーは、1.ドライブレコーダーにより記録すべき情報を連続して24時間以上記録できる記録媒体を備えたものであること。
ドライブレコーダーは、記録媒体が装着されていないこと等により適切な記録が行われない状態で自動車が走行した場合にあっては、その旨を灯火、音声その他の手段により運転者に伝達する機能を備えたものであること。
ドライブレコーダーは、記録媒体に記録されている「1.ドライブレコーダーにより記録すべき情報」の改ざん防止のため、外部からの書き込み、消去等の処理を防止する機能を備えたものであること。
耐久性
ドライブレコーダーは、堅ろうであり、かつ、振動、衝撃等により容易に機能を停止しないものであること。
平成29年12月1日より前に登録を受けた自動車に備え付けられていたドライブレコーダーについては、令和6年11月30日までは、赤字の規定が適用除外されます。
令和6年12月1日からは、このドライブレコーダーの性能要件を全て満たす必要があります。古いドライブレコーダーについては、今のうちに確認しておきましょう。 |