旅客自動車運送事業運輸規則第四十七条の七第一項の規定に基づき、旅客自動車運送事業者が公表すべき輸送の安全に係わる事項を定めてています。この公表すべき事項は、意外と知られておらず公表していない事業者が非常に多いです。
今回は、公表すべき事項について詳しく解説していきたいと思います。
1.一般貸切旅客自動車運送事業者が公表すべき事項
①輸送の安全に関する基本的な方針
②輸送の安全に関する目標及びその達成状況
③自動車事故報告規則第二条に規定する事故に関する統計
④道路運送法二十二条の二第一項に規定する安全管理規定
⑤輸送の安全のために講じた措置及び講じようとする措置
⑥輸送の安全にかかわる情報の伝達体制その他の組織体制
⑦輸送の安全にかかわる教育及び研修の実施状況
⑧輸送の安全にかかわる内部監査の結果並びにそれに基づき講じた措置及び講じようとする措置
⑨道路運送法二十二条の二第二項第四号に規定する安全統括管理者に係る情報
⑩事業用自動車の運転者、道路運送法第二十三条第一項に規定する運行管理者及び道路運送車両法第五十条第一項に規定する整備管理者に係る情報
⑪事業用自動車に係る情報
※その他、利用者にとって有用な情報があれば積極的に公表すること
2.公表すべき事項についての補足
③自動車事故報告規則第二条に規定する事故に関する統計とは
死亡事故件数、重傷事故件数、軽傷事故件数、物損事故件数、事故報告書提出件数、健康起因事故件数
⑤輸送の安全のために講じた措置及び講じようとする措置とは
・直近3年間の運輸安全マネジメント評価の実施状況
・直近3年間の民間指定期間における運輸安全マネジメント認定セミナーの受講状況
⑦輸送の安全にかかわる教育及び研修の実施状況とは
運転者、運行管理者、整備管理者それぞれに対する教育及び研修の直近事業年度における年間実施回数、初任運転者に対して行う必要のある添乗による安全運転の実技指導については、実施日程、ルート、車種区分、実技指導の具体的な内容、添乗者の指導歴
※赤字は令和6年4月1日以降に報告するものから適用
⑧輸送の安全にかかわる内部監査の結果並びにそれに基づき講じた措置及び講じようとする措置とは
内部監査の実施の有無、直近事業年度における実施回数、対象者、監査結果(指摘有又は指摘無)、指摘があった場合の措置
⑨道路運送法二十二条の二第二項第四号に規定する安全統括管理者に係る情報とは
安全統括管理者の社内における役職、選任年月日
⑩事業用自動車の運転者、道路運送法第二十三条第一項に規定する運行管理者及び道路運送車両法第五十条第一項に規定する整備管理者に係る情報とは
<運転者に係る情報>
(1)正規雇用の運転者の人数
※「正規雇用」とは、期間を定めずに雇われている者であって、社内の運転業務以外の業務を兼務していない者をいう。なお、兼営する一般貸切旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業の運転者と兼務している者は人数に参入することとする。
(2)正規雇用以外の運転者の人数
(3)健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険それぞれの加入者数
(4)平均勤続年数
※直近事業年度における正規雇用の運転者の平均勤続年数
(5)平均給与月額の水準
※正規雇用の運転者、正規雇用の運転者以外の運転者それぞれについて、直近事業年度における現金給与額(所得税、社会保険料等を控除する前の額であり、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、超過労働給与額等が含まれる。)の平均月額をもとに、以下の基準に従って報告。
毎年2月末日時点における運輸局ブロック別の報告事業者平均給与月額を基準額とし、直近の基準額と比較して、
A:基準額と同額以上
B:基準額と同額未満からマイナス10%以上
C:基準額からマイナス10%未満からマイナス20%以上
D:基準額からマイナス20%未満
<運行管理者に係る情報>
(1)運行管理者及び運行管理補助者の人数
(2)上記それぞれについて、他の業務(運転者等)と兼職している人数
<整備管理者に係る情報>
(1)整備管理者及び整備管理補助者の人数
(2)上記それぞれについて、他の業務(運転者等)と兼職している人数
⑪事業用自動車に係る情報
(1)保有車両数(大型、中型、小型ごと)
(2)大型、中型、小型ごとの最新車齢及び最古車齢並びに平均車齢
(3)大型、中型、小型ごとのドライブレコーダー搭載車両台数
(4)大型、中型、小型ごとのデジタル式運行記録計搭載車両台数
(5)大型、中型、小型ごとのASV搭載車両台数
(6)大型、中型、小型ごとの主な運行の態様
※「観光輸送(昼間)」、「観光輸送(夜間)」、「学校・企業等送迎」、「冠婚葬祭輸送」、「乗合高速バス受託」、「その他」
(7)任意保険の加入状況
※対人保険、対物保険それぞれの補償額
安全取組の公表内容⑦の拡充以外にも、令和5年10月10日に点呼の録音及び録画やデジタコの義務化に関する旅客自動車運送事業運輸規則等の一部を改正する省令の改正等が交付されています。 <Click>貸切バス 点呼の録音及び録画、デジタコ義務化についてはこちら |