貸切バスの運賃料金については、手数料を引かれて基準額を下回ったら即違反であるとか、手数料10%以内であれば安全圏内だから違反にならないなど様々な憶測が飛び交っています。今回は、手数料を引かれて基準額を下回った際の扱いについて詳しく解説していきます。
運賃料金の基準額を下回るケースは2つ
1つ目は、皆様がよくご存知の通り、届出している運賃料金に基づいて算出した基準額を下回った金額で仕事を受けた場合です。こちらは、道路運送法第9条の2第1項「運賃料金変更事前届出違反」となります。
2つ目は、手数料等により原価の合計額に対して安全コストが占める割合を個別の運送における運賃料金に占める手数料等の率が割り込んでいる場合です。この場合は、道路運送法第10条「運賃又は料金の割り戻し」となります。
簡単に言うと、手数料等を支払うことで基準額を下回る場合は、「運賃料金の割戻しの審査対象」とするだけであって、直ちに違反となるものではありません。しかし国の規定に準じた審査により、安全コストを阻害していると判断されれば違反になるということです。
審査対象者について
貸切バス適正化センターの巡回指導で審査対象に該当した場合は、管轄運輸局へ審査対象である旨の通知書が送られます。監査時には、安全コストを阻害していないかの審査を必ず実施するわけではありませんが、審査されることを前提に適正な運賃料金を考える必要があります。
旅行業者も注意が必要
運送を引受けた貸切バス事業者が、道路運送法第10条違反(運賃又は料金の割り戻し)で行政処分を受け、当該貸切バス事業者と取引を行った旅行業者に対しては、旅行業法第18条の3第1項第6号の規定による業務改善命令が発出されるといった事態が続いていますので注意が必要です。