毎年10月から5月にかけて、鳥インフルエンザが猛威を振るっています。この時期は、まん延防止のための殺処分や消毒業務を担当する行政機関の職員を輸送する業務で、発生地域の貸切バス会社さんは、大忙しではないでしょうか。
この鳥インフルエンザに関連する業務は、改善基準告示の適用除外業務に該当します。適用除外業務については、鳥インフルエンザ以外にも災害時の緊急輸送など色々とありますが、今回は鳥インフルエンザを含めた家畜伝染病のまん延防止に関する業務をピックアップして解説していきます。
1.改善基準告示の適用除外業務とは?
適用除外業務とは、改善基準告示における1日の拘束時間の上限などに縛られることがない業務です。その名のとおり、改善基準告示の適用が除外されています。
2.どんな業務が該当するのか?
家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病のまん延の防止のために、次に掲げるものを運搬する業務
貸切バスで該当するのは、③になります。
①同法第21条第1項に規定する家畜の死体 |
②同法第23条第1項に規定する家畜伝染病の病原体により汚染し又は汚染したおそれがある物品 |
③同法第16条第1項若しくは第3項に基づくと殺、第17条の2第5項若しくは第6項に基づく殺処分、第21条第1項若しくは第4項に基づく焼却若しくは埋却、第23条第1項若しくは第3項に基づく焼却、埋却若しくは消毒又は第25条第1項若しくは第3項に基づく消毒を実施するために必要な人員、防疫資材等(第25条第1項又は第3項に基づく消毒に必要な人員、防疫資材等については、初回の消毒に必要なものに限る。) |
3.適用除外業務に従事しない期間がある場合の拘束時間等の上限
適用除外業務に従事する期間を含む1箇月等の一定期間における、当該業務に従事しない期間に関しては、当たり前ですが改善基準告示が適用されます。また、この場合の一定期間における、適用除外業務に従事しない期間の拘束時間等は、次のとおり、当該一定期間及び適用除外業務に従事しない期間の日数の比率により、改善基準告示で規定する拘束時間等の上限時間を按分した時間を超えてはいけません。
1ヵ月の拘束時間
【(適用除外業務に従事した期間を含む1箇月の日数ー(適用除外業務に従事した日数)】
÷(適用除外業務に従事した期間を含む1箇月の日数)×281時間(※1)
1年の拘束時間
【(適用除外業務に従事した期間を含む1年間の日数ー(適用除外業務に従事した日数)】
÷(適用除外業務に従事した期間を含む1年間の日数)×3300時間(※1)
4週間の拘束時間
【28日ー(適用除外業務に従事した日数)】÷28日×260時間(※1)
52週間の拘束時間
【(適用除外業務に従事した期間を含む52週間の日数ー(適用除外業務に従事した日数)】
÷(適用除外業務に従事した期間を含む52週間の日数)×3300時間(※1)
4週間の運転時間
【28日ー(適用除外業務に従事した日数)】÷28日×160時間(※2)
※1 改善基準告示の拘束時間の上限時間。労使協定により、改善基準告示で規定する時間を超えない範囲で延長する場合は当該延長した時間とする。 |
※2 改善基準告示の運転時間の上限時間。労使協定により、改善基準告示で規定する時間を超えない範囲で延長する場合は当該延長した時間とする。 |
休息期間について
適用除外業務に従事する期間の直前において改善基準告示に定める休息期間を与えなくてはならないことはもとより、当該業務に従事する期間の直後の休息期間についても、継続11時間以上与えるよう努めること。
4.適用除外業務に関する書類の備付け
適用除外業務を行うに当たっては、適用除外業務に該当することが明らかとなる関係法令に基づく各種行政機関への届出書や、物資等の運搬に関する地方公共団体の要請文書等の写の事業場への備付け及び自動車運転者ごとの当該業務に従事した期間が明らかとなる記録の整備が必要です。